伊豆大島で甚大な被害をもたらした台風26号!
現地からの映像を見るにつけその被害の大きさに唖然とし心が痛みます。
伊豆大島には特別な想いがあります。
私だけではなく大工.左官.塗装.建具屋.現場監督.設計者も同じだと思います。
ご縁があって眼光鋭いご住職がいらっしゃる「海中寺」の客殿と庫裡、
そして数年後、元町港の目と鼻の先に磯釣師で知らない人はいないという
「美芳」を建てさせて頂きました。
島内では弊社の様な建物を造る大工さんがいません。
大黒柱や松梁はもちろん建築資材の殆んどを江東区の辰巳埠頭から
東海汽船の貨物船で運び込むという大掛かりな工事でした。
建築期間中、職人さん達が特別待遇で宿泊していたのが「ホテル椿園」
職人さん達が毎日気持ち良く仕事が出来たのも「ホテル椿園」の方々や
「美芳」のおばあさんのお陰でした。
伊豆大島は台風の通り道。建築期間中も二回直撃されました。
完成後も台風が来る度に元町港の桟橋にぶち当たる強烈な波しぶきのTV映像は
私の心臓には良くありません。
◇
ニュースの被害を見て元町の「海中寺」さんへ電話しました。
つい今しがたまで停電してたのだとか!
建物はビクともしなかったと仰って下さいました。
「美芳」のおばあさんに電話しましたら避難して来た人が
「この豪雨でも雨音が聞こえないんだねこの家は」と驚いていたとか
「ホテル椿園」の一階に土砂が流れ込んで大変なことになっている!
道路が何ヶ所も寸断されている事など現状を話され
そして「家は何とも無いから安心して!」と言って下さいました。
◇
TVニュースで土石流の被害にあった範囲の地図や模型が写し出される度に
「ホテル椿園」の位置が示してありました。
建築中何回も通いそして泊まったあの部屋や露天風呂も埋まってしまったのか!
敷地内にあった由緒ある古民家「椿亭」も全壊したと知りました。
広大な椿林の中に建っている一階のドアノブの下まで土砂で埋まっている映像
二階に避難誘導したオーナーや宿泊客へのインタビュー!
その宿泊客があの状況の中、危険を顧みずに子供と母親を助けに行ったという
記事には感動しました。
諏訪で体験した一時間に74.5mmという豪雨。
この時の雨の激しさと痛さはまだ覚えていますが今回はその約二倍の122.5mm
深夜あの辺りは真っ暗で坂道!そして滝に打たれているような強烈な雨!
昼間なら兎も角、避難勧告が出ても動ける状況ではなく無理だと思いました。
大変お世話になった「ホテル椿園」のオーナーご夫妻や従業員の方々が
ご無事だったことがわかり取りあえず安心いたしましたが
亡くなられた方々や行方不明の方々又、土砂に埋まった建物をTVで見て
どうしても書かずにはいられませんでした。
伊豆大島の早い復興を願わずにはいられません。
(三枝)