9月4日、日曜日。『古川元章 左官アート展 Part.2』を開催中の杉坂建築事務所モデルハウス、横浜『山手の家』で、ワークショップ『版築でつくる一輪挿し』を開催しました。モデルハウス内のリビングルームは左官アートの作品展示場所になっていたので、ワークショップは1階のガレージスペース特設会場です。
「版築」というのは伝統的な左官技術のひとつ。土を突き固めながら積み上げて、構造物としての壁や塀を作り上げていく技法です。その、版築でつくる一輪挿し。左官アート展にも古川さんの作品が展示されていました。
陶器とはひと味違う柔らかみが感じられます。土の層によって色が違うのは、そもそも色の違う土を使ったり、顔料や色土を混ぜることで調整します。
当日は、子どもと一緒のご家族を中心に、15名ほどの方がご参加くださいました。
どんなワークショップで、どんな作品を創ることができたのか。順を追ってご紹介します。
では、作ってみよう!
講師でもある左官職人の古川さん。参加者のために、ベースとなる土を調合する準備作業中です。ベースの土には、ほんの少し水を加えて、よくかき混ぜます。
土を突き固めるためには「型枠」が必要ですね。今回は、竹を使用しました。
これを、まずは2つに割って……。
養生用のテープで再び固定します。住宅建築会社ですから、こういうテープなどはまさに商売道具。たっぷりとご用意しました(笑)。
さて、型枠の準備ができたら、いよいよ「版築」つくりのスタートです。
ベースの土に混ぜる色土や顔料もいろいろご用意しました。
大きなボールに用意されたベースの土を、スプーン8杯分くらい小さなボールに移し替え、自分が使いたい色土や顔料をスプーン半分程度〜1杯くらい入れて、よくかき混ぜます。
最初は「これで色が着くのかな?」という感じですけど、混ぜるほどに、次第にしっかり思い描いた色が出てきます。
ほら。こんなに青くなっちゃいました。
よく混ぜて色が出たら、竹の型枠に土を入れます。
一輪挿しなので、花を挿す穴にはガラスの試験管を使うので、塩ビのパイプで穴を作りながら土を積み上げていきます。
こんな感じ。
土を入れたら、用意した木の棒で、ひたすら突き固めます。
お父さんやお母さんも一緒に、ひたすらトントン……。
トントン、トントン。
竹の中に、どんどん土が積み上がっていきます。
でも、いろんな色を付けた土が、型枠の中でどうなっているのかはよくわかりません。想像力が勝負です。
ちなみに、塩ビパイプに貼ったガムテープは、試験管の高さの目安。自分の好みの高さまで土を突き固めたら、ひとまずは完成です。
乾くと土が縮んで抜けなくなってしまうので、まず、塩ビパイプをゆっくり抜いて。一度、型枠を外してできばえを確認してみることになりました。
参加した子どもたちの完成写真。ご覧ください!
みんな、カラフル!
ちょっと照れちゃったコもいましたが、みんなの笑顔も素敵です。
次は、大人の参加者のみなさんの作品です。諸事情(w)により、笑顔はなしで作品のみ。
子どもたちの作品に比べて色数などは控えめで、大人の作品は「かっこいい!」という感じですね。
このままでは土がまだ固まっていないので、仕上がりをチェックした後でまた竹の型枠をテープで固定して、プチプチで丁寧に梱包し、試験管とともにそれぞれの作品をお持ち帰りいただきました。
自宅に戻ったら型枠を外し、2〜3日乾かして完成です。
次の機会には、ぜひご参加ください!
こうしたワークショップは、わたしたちにとっても貴重な体験でした。
日本の職人の技が優れているのは、卓越した職人の技を賞賛する「心」が根付いているからだと思います。今回の「版築」体験。工程としてはシンプルですが、土の手触りや色合い、そして、自分のイメージで形を作り上げていく醍醐味を、子どもたちをはじめ、参加者のみなさんに体感していただけたのは、とても有意義なことだったと感じます。
また、改めてこうした「手仕事」を体感できる機会を設けるよう、考えてみたいと思います。その時はまた、多くの方々にご参加いただけるよう、お待ちしています!