花を撮っていると季節の移り変わりが良くわかります。
そしてその変わりかたが年々速くなって・・・
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豆柿の木がある築53年の家の解体は節分が過ぎてからと
いうことで予定通り始まりました。
ご主人のご実家!記憶によると建て替え前の茅葺きの家の梁が
一本使ってある筈・・・とのこと!
そうであれば玄関を入った正面に意匠として使うことにしました。
お施主様も楽しみにしていらっしゃいます。
解体初日、土壁を崩したもうもうたる埃の中、
二階の天井板を剥がすと先ず目に入ったのが墨書きされた棟木でした。
鳶頭と棟梁の二人の名前。撮った写真をご主人にお見せすると
その当時のことを思い出されたようで、
父親である鳶頭は腕を組んだまま棟梁の仕事振りをジッと見ていたとか、
鳶頭の三二の名前の由来は三月二日に生まれたから・・・だとか、
学校から帰ると左官屋さんの手伝いをして練った壁土を運び上げたんだ
とか、思い出話をして下さいました。
棟木は二本に分かれていて片方には「明治四拾三年壱月廿四日 上棟
棟梁 安藤峰吉」と墨の色も黒々と勢いのある筆で書いてありました。
肝心の丸太梁はご主人の記憶通り使われていましたが、
残念ながら長さが足りません。その代わり二間物の梁が二本!
太くはありませんが手斧(ちょうな)で削った跡もありいい感じ!
材質は色からして桧や松では無く面皮付の杉のように見えました。
傷や穴が沢山あると思いますが長年この家の屋根を支えてきた梁です。
御前崎の家の玄関に使ったように、そのような材を今度は人の目に
触れるところに使ってあげたいと考えていました。
工事監督は長さはOK使えますというお墨付きで
一本は玄関に使用(これはお施主様も設計.監督も了承済み)
もう一本は寝室の出窓に「まぐさ」として使いたいと思い
イメージを膨らましているのですが、お施主様と設計.監督の承諾を
得なくてはなりません。
やった経験からすると素敵にならない筈はありません!
地鎮祭の時にご提案したいと思っています。
解体業者さんが言うにはこの家はかなり古い材を多用して
建ててあるということでした。
茅葺きの家を解体した材の多くを再利用したのでしょう!
その梁を二本、再々利用!
地鎮祭は3月4日に決まりました。大工さん達との打ち合わせは
今月25日、4月初旬に上棟予定!着々と着々と進行中です。
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現場に咲いていた香り高い蝋梅の花。それが終わる頃、
この現場のメインである紅梅の古木に花が咲き始めます。
建国記念日の新宿御苑では既に寒桜が一分咲きとなっていました。
メジロの群れが蜜を求めて満開の中を飛び回るのはもうすぐです。
三枝