日本伝統工法で環境共生住宅を創出

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

20020509

住まいや住み方に対する志向・ニーズが多様化する中で、「環境共生住宅」が次世代の住文化の基本コンセプトになりつつある。杉坂建築事務所は、日本の風土と文化に磨かれた伝統工法を発想の原点として、強度・耐久性・住み心地などに優れ、自然の良さを最大限に享受する環境共生住宅としての和風を追求している。日本建築の伝統にこだわる杉坂建築事務所の現代住宅は、当初からその高い完成度が社会的に評価されてきた。

高度な建築技術駆使
本物の家づくり展開

杉坂建築事務所は一九五四年の創立以来、「本物の家づくり」を目指して、伝統技術と現代建築に精通した建築家と技を誇る職人からなる技術集団を形成している。同事務所では住宅建築について、日本の家づくりを原点から見つめ直した。その結果、原点を日本の伝統的な民家に見いだすに至った。

日本建築は風土にはぐくまれた堅牢性や繊細な感性が生んだ様式美を備えている。住まいは風土や環境の一部であり、それ故に自然の変化に優しく応じる工夫が不可欠である。「環境共生」が次世代の住文化の基本コンセプトになりつつある中で、空調などによる環境制御だけに頼る日本の住文化を見直すことは、人間や地球にとっても大事なことと思われる。本来、伝統の中に本物、つまりこれから目指そうとする未来への数多くのヒントがあった。

杉坂の家は日本の風土・自然環境を優しくコントロール、つまり自然の良いところを享受し悪いところを緩和するように建築的に工夫していく技術を取り込んでいる。そのような技術が、梁の大空間・ひさし・障子・土間といった日本の伝統家屋が持っていた原風景をよみがえらせたのである。

本物の和風、環境と共生するといっても夏の暑さや、冬の寒さを我慢するということではない。夏は自然の風を取り入れ、熱をシャットアウトすることによって涼しさを享受する。冬は太陽を取り込んで、その熱を逃がさないことで暖かくする。

このような住宅は、周辺の微妙な気候・環境の状況を取り込んだ高度な設計力と技術力を要求される。日本の風土と文化に磨かれた伝統工法と、高度な技術力によって実現される。伝統的な名建築は、みんな自然環境にひっそりと溶け込み、気品よく融和した姿で建っている。時代は変わっても、このような本物の和風の姿や考え方は受け継がれているくことが必要であろう。

杉坂建築事務所の環境共生住宅は、自然の気持ち良さをコントロールする高度な設計力と技術力によって自然の良さを最大限に享受する。そして次世代の本物の和風として日本の住文化形成を目指している。

(2002.05.09 日経新聞 夕刊)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

まずはお気軽にご相談ください