日本の植物学者・牧野富太郎をモデルにした朝ドラ「らんまん」
先日「雑草という草はない」という記事に目が留まりました。
そこにはこの言葉の出典は正に牧野博士だったことが2022年8月に判明したと書かれてありました。
山本周五郎が記者だった頃、インタビューの中で雑草という言葉を口にしたところ「雑草という草はない。雑木林という言葉も嫌いだ」などと、牧野博士はなじるような口調でたしなめたのだとか!
記事を読むまでは、昭和天皇が仰られたとばかり思っていました。
昭和天皇は牧野博士を皇居に招いて植物学のレクチャーを受けたことがあるので、影響を受けたのかもしれないと書かれてありました。
この記事を読んで思い出したことがあります。
33年前、ある著名なK様と建築候補地を見に行った時のこと、何気なく「雑草が茂ってますね!」と言いましたら「三枝さん!雑草という名の草はないんですよ」と優しく仰ったのです。
その時はそうだよな〜と思っただけでしたが、何故か心に残る言葉でした。
柿生のお宅にはお茶室がありましたので新築の家にもご所望でした。
旧宅の茶室は土壁を残したまま解体され長野県茅野市にある奈良のお寺の別院に復元されました。
参考にと解体前のお茶室を見ていた大工さん。
プレッシャーで手が止まってしまいました。
「そんなに気負わなくてもいいから楽しんでやってください」
と仰っていただきましたが、そう仰られてもね!
表具師さんも同様で、神経を擦り減らしながら腰張りや障子を張り終えホッとしたのもつかの間、初釜の直前飼い猫が腰張りを引っ掻き、障子をぶち破って外に飛び出してしまったのです。
表具師さんに張り直して欲しいと伝えると暫し唖然としておりました。
茶道はご主人が遠州流、奥様は表千家でお弟子さんも多く日本舞踊の名手でもありました。
随筆もお書きになるし茶花は勿論のこと草花にも詳しい素敵な奥様でした。
優しい物腰の方々で竣工後も何かと呼んでいただき、伺うたびにお茶を点てて下さいました。
思い起こせば、お二人とお話ししている中で得られたものは多く、本当にありがとうございました。
既にお二人とも亡くなられていますが、草花に目を向けるようになったのは、K様が仰ったあの言葉がきっかけになったことは確かです。