現在、世田谷区内で古民家の改修工事を行っています。
この民家は築約90年。
近年、維持や継承の問題でこういった建物はだんだんと姿を消しています。
そんな中、深い趣があり思い出深くもあるこの住まいを是非残したいとのご意志でご依頼いただきました。
ご依頼主のお子さんもこの民家を受け継ぎたいとお考えだとか。
「受け継ぎたい」
この仕事に携わるものとしても嬉しい言葉です。
この日は老朽化した屋根の修繕と葺き替え作業。
実は工事前の建物は、瓦のかたちをした金属板というとても特色ある屋根材で葺かれていました。
恐らく創建当時のものでは無く、ある時期に葺き替えられたのではないかと考えられます。
そんな金属瓦も時と共に劣化し、錆び付いて穴が空いた状態になっていました。
更にその影響が下地にも及び、雨漏りも生じていました。
もとの屋根は下地がこけら葺きという木の小板を貼り重ねたもので、いわゆるトントン葺きでした。
今度は耐水合板と防水紙で新しく葺き直します。
垂木材に損傷がなかったのが何よりでした。
本葺きはこれから。
庇の端部等劣化が及んだ部分も修繕し、仕上げます。
今回はスケルトンにしてあれこれ豪華に全部直すというものではありません。
ですがご安心して住まっていただける改修にしたいと思っております。