祝 入賞!
先週、サスティナブル住宅賞の授賞式がありました。
サスティナブル=持続可能性と言われます。
この賞は地球環境負荷を低減させながら豊かな暮らしを持続してゆける住まいを評価するもの。
国の後援で設けられた水準の高い賞です。
2年前、改修部門において大賞となる国土交通大臣賞をいただきましたが、今回は惜しくも板ガラス協会会長賞。
私ども以外に数点の入賞がありましたが、ここは揃って準優勝ということにしておきましょう!
めでたし!
麹町のホテルで受賞式。
私たちは場所が近くて有り難いですが、九州など遠方からご参加の方もいらっしゃいました。
この賞は単に断熱気密性能だけでなく、環境を読み取って活かす新たな視点やら施主と共に取り組むスタンスまで、多角的に評価されます。
はるばる来るだけの大変意義ある賞だと思います。
厳かな雰囲気の中、開式。
表彰状は、代表して施主様が拝領。凜々しいですっ!
受賞式の後は各作品の発表会が行われました。
皆さん特徴的な作品ばかりでなかなかやります!
MyTeamは、我らが設計部の徐が熱弁をふるったのでした。
私共の受賞作は、埼玉県飯能市に昨年の秋完成した29坪の住宅。
高性能住宅評論家・南 雄三氏とのコラボプロジェクト第5弾の住まいは「MEP(Masahide Eightgrid Passivehouse)」と名付けられました。
まず地場産の西川材を使い、当たり前のしっかりした在来木構造で構成する。
ここがポイントで、造った業者にしか解らない様な特殊な工法ではありません。
身近な地域の木で造り、解りやすく維持管理もし易い住まいであること。
シンプルな考え方がベースにあります。
地域環境に寄り添いながら豊かさを共有する、サスティナブル精神の第一歩と言えます。
そしてこの住まいを立地環境の中でどの様に展開し、社会に対するテーゼとして何が評価されたのか。
この住まいの面白さ、それは…
『8帖グリッド』
『出窓』
細かい事は沢山あるのですが、この2つが柱です。
ひと昔前、茶の間という空間が日本の庶民住宅の中心にありました。
ちゃぶ台・こたつを囲んで一家団欒、なんていう家族の情景に心が和む方もおられると思います。
(和まない方は、、すみません<(_ _)>)
茶の間というと、6帖くらいが部屋中どこにでも手が届いてしまう様なスケール感が良い感じ。また畳の部屋特有のゴロリとなれてダラダラできる感じも心地好いです。
着ぐるみのキャラクターが、♪こたつから出られない~こたつから出られない~♪というCMがありましたが、近いような…
コンパクトに成り立ってしまう日本のリビングルームはすごいです。
『8帖グリッド』は、この6帖に収納や廊下等のプラスアルファを加味してモデュール(基本単位)化したもの。
小さな敷地でも応用しながら組み合わせやすい最小単位として位置付けています。
元来日本の住宅はそういうものですが、8帖のモデュール化とその組合せに焦点を当てた所がキモ。
シンプル+整形=安定した構造にも繋がり、自由度の高さも特徴です。
『出窓』は、もう少し空間の広がりが欲しいときにうまい具合の要素。
この住まいでは床ごと出しちゃいまして、収納や家具家電置場にも対応できるスペースにしています。
そして側面に通風窓を設け、外部にガラリ格子を取り付けました。
この通風窓は主に夏場に重宝するのですが、風を正面からではなく建物の側方から捉えようというもの。
正面はスッキリ壁やスッキリガラスになるため、意匠性や使い勝手が高まります。
隣家が迫る場所にも効果的。
また不在時・就寝時・雨天時でも開放しておけるつくりでもあります。
主に北側はスッキリ壁にして物が置ける様に、南側はスッキリガラスにして採光を重視しています。
この南側の窓には外側にすだれレールを設け、夏場の日射遮蔽対策を考えました。
下屋の屋根勾配を緩くし、2階より施主自ら屋根に出てすだれの脱着が出来るというしくみです。
“面白さ”は、これらの組合せによる相乗効果により、日本的間取りの良さを活かした新たなかたちが生まれることです。
8帖グリッドをどう繋げて行くかが快適性をつくる鍵になります。
また内部だけで無く、方位・太陽高度・風向などなど、様々な要因を踏まえた外部との関係性も重要。
そこに出窓という要素が加わることで、空間の大きさを緩和し、季節や時間帯毎に最適な状態を設定可能となります。
日射と風を効果的に制御し、機械エネルギーの使用を抑えながら快適に暮らせる工夫がパッシブの原点。
パッシブは住み手のアクティブな働きかけが大切です。
施主様が、楽しみながら最適な制御術を会得すると、この住まいは更に豊かなものとなるでしょう。
住まいの仕組みは、ここで書き切れないほど沢山あります。
ご興味のある方は営業部までお問い合わせ下さい。