式台はその昔、敷地に育つ欅だった
新年、おめでとうございます。
今年も杉坂建築事務所をよろしくお願いします。
トップページのニュースでもお知らせしておりますが、年初の古民家見学会は早くも沢山のお問合せをいただいており、大変有り難く思います。
そのうち28日に実施する古民家・K氏邸絡みの特徴的な部分ですが、ちょっとだけお知らせします。
Kさんの敷地にはその昔、道路際に大きな欅があったのだそうです。
古民家と共に、立派な風情を湛えていたことでしょう。
ですが道路が拡幅される事となり、位置関係上どうしても伐採せざるを得なくなりました。
折角の欅です。いずれ何らかのタイミングで活用できればと、業者さんに頼んで製材し、ずっと寝かせておいたのだとか。
40年くらい昔のことだそうです。
そして敷地内にある納屋の裏手には、静かにその時を待つ欅の姿が。
化石の様になっていますが、ミミ付の板材です。乾燥十分といった感じ。
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今回、古民家の一部分、LDKをリフォームさせていただきました。
一定の予算を限度とし、豊かな空間にするリファイニングです。
昔の民家には土間と上がりの部分があり、結構な段差になっていることが多いです。この民家もそうでした。
そこで欅の板を使い、段差補助の為の式台を大工に作ってもらおうという事になりました。
ストックされた欅板は粗挽き状態。風雨に晒されカッサカサです。
先ずは加工場に持ち込んで、綺麗に挽き直すこととなりました。
きれいに挽き落とされた欅。ピンクがかったきれいな色になって戻ってきました。
表面削れば蘇る、これが無垢板の良いところ( ̄ー ̄)。
よく見ると、端っこに虫食いの穴が。
白太の美味しいところが木喰いムシにやられてしまったのでしょう。
ムシはもう居ませんし、強度上の問題もありません。
これも味わいという事で、そのまま使いました。
出来上がり。
シンプルな形にしてもらいました。がっちりしてて良い感じです。
最後に柱や梁に合わせて塗装屋さんに調色してもらってます。
この土地の記憶が蘇る様でグッドです。