曳家(ひきや)
現況の地盤が周囲よりも低かったので雨水が溜まりやすく、
土台や柱がかなり腐食しておりました。
そこで湿気対策の一環として地盤面を嵩上げし、
新たに基礎を造り直すことにしたので建物を揚げる必要が
出てきました。
この工事をしてくれるのが曳家という職種の方々です!
この工事が始まる2ヶ月ほど前に奇しくも本社からほど近い
松陰神社境内にある松下村塾(模築)の大規模修繕工事が
行われていて曳家工事を間近に見ておりました。
築約80年の建物は基礎など主要部分が腐食してたり老朽化が
すすんでいたと書いてあり、
今回、可能な範囲で使用していた材を使って修繕するとも
書いてありました。
現場に居た鳶の人は「萩の松下村塾の模築なので柱にある
刀傷も忠実に再現してあるそうですよ」と話してくれました。
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今回の曳家工事も規模は違えども同じ工法で行います。
使用するレールは3本を1本に繋げたものをX軸方向に16本、
そしてY軸方向に14本、更に重要な箇所に2本を重ねて
それをボルトで締め付けていきます。
井桁状に組み上げていく枕木もかなりの本数が搬入されて
いました。
使用する資材や工具は重量のあるものばかり!
柱は角材で挟んでボルトで締め、レールにガッチリと
固定してありました。
連動させた10基の油圧ジャッキはコンピュータで制御して
揚げていき出来た隙間に枕木を差し込んで徐々に徐々にと
積み上げていきます。
最終的には写真の状態より更に60cm高くなります。
今週から基礎工事を始め来月の盆明けぐらいには終わらせる
予定です。終わり次第規格外寸法(4.5寸角)の土台を
新たに敷き建物を降ろします。
曳家さんは「降ろす時は枕木を抜いていくだけだから早いよ!」
と言ってましたが、それでも1週間はかかるようです。
建物の周囲には高さが40cmの基壇(きだん)を造るのも湿気対策の
一環ですが意匠としての意味合いも兼ね備えています。
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現地に行く度に稲の成長の速さに驚きます。
益鳥であるツバメは青々とした田んぼの上を飛び交い
長屋門に三つも巣を作ってヒナを育てています。
三枝