後世に遺す
現在、中野区の現場では建替工事が行われています!
新しいお住まいに、築約50年となる既存建物の構造材や建具を再利用したいという
施主様のご希望から、建物解体の前に建具や構造材の取外しをしました。
また、茶室の待合をそのままの状態で移動させる曳家(ひきや)という工事も行いました!
再利用される建具や構造材と併せて写真と文章でご紹介させて頂きます。
今では中々目にする機会が少なくなってしまった、ケヤキの大黒柱です。
その強度の高さや、ケヤキ独特の杢目が美しい反面、乾燥が遅い為に
収縮に伴う狂いが生じやすく、また流通量も少ないためにとても希少な材料となってしまいました。
実はこちらの大黒柱は50年程前に既存建物が建築された際にも再利用されたものであり、
今回の建替で2度目の再利用となります。半世紀を越えてもなお、大黒柱としての役目を
担い続けるその姿には、敬意を表してやみません。
こちらの上框もケヤキで造られたものです。
他の場所と比べて負荷が掛かりやすい箇所だからこそ、強度が高いケヤキが選ばれているのでしょう。
こちらは杉柾敷目板を取り外している様子です。板を外していくと、小屋組が見えてきました!!
よく見てみると梁に釿(ちょうな)ではつった跡があり、建築当時の職人さんの手仕事を目にすることができました。
見えない所にもこだわりをもち、職人としての誇りを持ちながらお仕事をされていたのではないでしょうか。
目に見えない場所でもしっかりとした仕事をするのが、本当の意味での職人さんだと思います。
こちらは待合の曳家工事の様子です。
曳家とは、建物あるいは基礎ごと持ち上げ、敷設したレールの上を沿わせて別の場所に移動させる工法です。
分解して改めて組み直すのに比べ、大幅に手間や時間を省くことができます。
◆
最近、古建具や古材を使いたいというお客様が非常に多くなっております。
古建具屋さんにお客様と同行し、使用する建具を選ぶということもあります。
それだけ、年月を経たものには、味わいや趣、そして落ち着きがあるからだと考えます。
建物にも、同じことがいえるでしょう。
もし、家族形態の変化や土地事情、老朽化などで建物を解体・建替をせざるを得ない場合は、
新たな選択肢として、既存建物の建具再利用などを検討してみてはいかがでしょうか。
新しい家でも、以前の家の懐かしさや安らぎを感じることができます。
また、建物の一部を後世に遺すという意味でも、とても意義のあることに思えます。
もしご興味がございましたら、お気軽に弊社までご連絡ください。
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