竹藪の手入れ
鎌倉のお宅の白梅の古木に咲く花の中を、メジロのつがいがせわしく飛び交う姿は見ていて飽きることはありませんでした。その梅の季節が過ぎ、いよいよ心浮き立つ桜の季節がやって参りました。
築二年のこのお宅は竣工時まで荒れ放題の竹藪が南斜面を覆っていて、建物への陽射しを遮っていました。特に冬の時期太陽の日射しが大好きな奥様の沈んだ気持ちを何とかしようと、ご主人は竹藪を切り開くことを決意したのです。
以来、毎日毎日ノコギリを手に竹藪に入り切って切って切って切り揃え、束ね結わえて下に降ろしゴミに出すことを繰り返し伐採の範囲を広げていきました。
ご主人の一日は朝食後すぐに竹藪に入り伐採、昼食を済ますと又急斜面に取り付き伐採・・・この繰り返しです。夕方降りてきて風呂で汗を流した後に飲む一杯、これが美しい ゴルフに行く回数も減りました。竹を切るコツもつかみ何よりも楽しいと、お伺いする度におっしゃっています。
荒れた竹藪を切り開くだけはなく斜面を保護するために植林もしています。山に入る姿や身のこなしもすっかり板に付き、はたから見ていてもカッコいいのです!
今では荒れてた斜面には季節ごとに花々が咲き乱れ、白い花だと思っていた早咲きの桜は太陽の光をタップリと浴びた為か、淡いピンクの花を咲かせる桜だと今年分かりました。
花の色の変化に「見られて恥ずかしいのかもね・・」と隣家の方はおっしゃたそうですが、私には一枝横に伸ばし咲かせているその姿は、桜がとっても喜んでいる様に見えてしまうのです。!!
ご主人の考えは竹を伐採するだけでは有りません。新たに竹を生やし三年後には鎌倉一の竹林にしてみせるとおっしゃっています。そしてこれは自分の所だけではなくて、鎌倉の荒れた竹藪を美しい竹林にしていく活動をしていきたいと熱く話して下さいました。
現在もノコギリを手に作業は続いています。
今月下旬には南斜面の頂きに咲く吉野系の山桜が、太陽を背にし輝いている姿をリビングから眺めることが出来ます。頂きから花びらが舞い落ちてくる景色もなかなか良いものです。 太陽は偉大です!木も花も生き生きとし、何より奥様のお気持ちも晴れやかとなりました。大変な奥様想いのご主人で、その情熱には感服です!!
奥様からご主人へのさりげない一言「私が幸せになることが、あなたの幸せなのよね」
この一言が私には忘れられません。
お伺いするのが楽しみな鎌倉のお宅です。
(三枝)