春といえば、やはり桜
先日、山手モデルハウスに程近い場所で地鎮祭を致しました。
お施主様が用意した40㎝以上もある見事な鯛を見てご神職は
「麗しく見せましょう!」と麻ひもで写真の様にして下さいました。
鯛は今が旬、桜鯛とも呼ばれています。天気にも恵まれ
お陰様で品のある地鎮祭となりました。
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さて私の血が騒ぐ季節がいよいよやって参りました。
きっかけを作ったのは16年前、甲府市湯村で建てさせて頂いたお施主様です。
お打合せが終わって東京に戻る私達に、満開になっている慈雲寺の
イトザクラ(甲州市)までわざわざ連れて行って下さったのです。
それもお弁当まで用意して・・・
観光客が引けた夕暮れ時、樹齢300年以上と言われている
イトザクラを真下から見上げると、桜の花に包まれ何とも優雅で
幸せな気分になったのを今でも思い出します。
それからです桜! さくら! サクラ! と、櫻を求めて出かけて行く様になったのは・・・
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苦い思い出もあります。
鎌倉の現場でどこかのトラックが
門扉の上に延びている桜の枝を引っ掛け、
かろうじて表皮一枚で繋がっていましたが折ってしまったのです。
行き止まりの狭い道、少し広くなっている門の前は
宅配の車等が転回に使っていますのでそれらの車かもしれないのですが、
当然お施主様はガックリ! 現場監督は真っ青!
隣家が植木屋さんだったので直ぐに来てもらいました。
一目見て「ダメだね!」の一言。
例えダメでも再生の処置をお願いしました。
老齢な植木屋さんの慌てずゆっくりと丁寧な処置の技を、
感心しながら興味深く見ておりました。
翌年、今までと変わらぬ花を咲かせた時にはホッと致しましたが、
4年目は咲きませんでした。
そう、このお宅には湧き水が流れ込む池が在り
「飛ぶ宝石」と称されるカワセミが飛来します。
安心してか逃げようとしません。
和室の雪見障子を上げ、お茶を飲みながら
コバルトブルーの美しい羽と仕草を観賞するのは何とも贅沢です!
あと数日もすると家を覆う様に桜が咲きます。
私は桜の似合うこの家が好きですし、ここのご夫婦も好きです!
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贅沢といえば湯村のお施主様は旅館を営んでいました。
敷地内には良い泉質の源泉が2本。
大きな石を多用し木々に囲われたご自慢の大露天風呂があります。
旅館業を止めご自宅とリハビリテーション施設を建設するので
露天風呂は空にしてあったのですが、
お打合せの後我々に入ってもらおうと早朝から掃除をし、
お湯を溜め始めて下さいました。
大きいから時間が掛かります。
お言葉に甘えて設計と二人感謝しつつ使わせて頂きました。
あまりの気持ち良さに二人言葉もなく、奥様が心配するほど長風呂してしまいました。
湯から上がると手作りの美味しいシャーベット!至福のひと時でありました。
門前の桜が葉桜になる頃、今度は何十種類もの薔薇が庭や施設の周りに咲き誇り、
今では湯村の人々はもちろんのこと薔薇好きの人達が
遠くから見に来るちょっと知られた場所になっています。
風にゆれる淡い紫のレースのカーテンを指して「薔薇の花で染めたのよ」
と言う奥様の横で「俺のパンツもこの色になってしまったよ」
とご主人が笑いながらおっしゃいました。こちらのご夫婦も私は好きだな〜。
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さて今年はどんな妖艶な桜に会えるのか楽しみです。
(三枝)