今年も5月5日、浅草から自宅まで29,500歩。
道草を食いながらも5年連続で完歩しました。
来年も歩き通したいものです。
さて出発点の雷門をくぐり仲見世通りから宝蔵門へ、
それを抜けると正面に本堂、左手に五重塔が見えます。
浅草寺では瓦の落下を防ぎ、参拝客の安全性、
更に耐震性を確保する為に五重塔の本瓦は36年も前に
アルミ瓦に葺き替えられていたということ皆さんご存知でしたか?
宝蔵門はチタン瓦に、そして平成本堂大営繕もチタン瓦が使用されました。
瓦の色は経年の変化や焼きムラが感じられる様に濃淡の物を作らせて葺いたということで、
五月の空に燻し色の屋根が映えていました。
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又、[東日本大震災復興支援]の「大絵馬寺宝展」も見て来ました。
本堂には奉納された見事な絵馬の数々が展示されていました。
「撮影禁止」「手を触れないで」の館内にあって只一箇所
「お手にとってご覧下さい」と書いてあったのがチタン瓦、
持ってみると「軽ッ!」「薄ッ!」ペラッペラ。
何と厚さ0.3㎜、鬼瓦でさえ1.0mmとの事。
しかしその出来映えは遠目で見ると瓦職人でさえ見分けが付かなかったそうです。
初詣のような混雑の中、押されるままに本堂に参拝!
天井にはあの川端龍子の「龍之図」が凄みをきかせています。
この天井画を見るのも楽しみの一つ。
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昼飯は上野でトンカツと決めていたのでスカイツリーを背にスタスタと30分。
食後、湯島・神田を通って大手町。そして東京駅!
もう一つの楽しみは丸の内の「熱狂の日」よりも全容が見え始めた「東京駅丸の内駅舎」。
大正3年に創建された3階建ての駅舎を忠実に再現する為の工事がまもなく完成するからです。
平成20年4月のブログにも書きましたが東京駅の屋根材は
「横浜山手モデル」と同じ産地の玄昌石、天然スレートを使って葺いてあります。
震災で大打撃を受けた宮城県登米と石巻市雄勝産の物です。
昨年4月16日の朝日新聞夕刊に硯の産地である雄勝町に
点検の為に運ばれた約20万枚、使用可能なものは約13万枚、
汚れを落とし作業が終わった物から納品して最後の6万5千枚を運ぶ予定に
していたところに大津波が来て保管倉庫が流され壊滅的な被害を受けました。
そんな中自分たちの事は後回しにして4万5千枚を2週間かけて回収。
しかしJR東日本の担当者からは塩水に浸かったスレートは使えないとして
スペイン産に発注をかけたと告げられたそうです。
「洗い落とせば問題なく使えるはず」と言う業者の話に「赤レンガの東京駅を愛する市民の会」が
JRに要望書を出し「文化財修復では建築の遺伝子を持つ当初の材料を尊重するのが原則だ」と
訴えた結果、津波に耐えたスレートは駅舎の屋根に使われる事になりました。
この記事は私のiPadに保存してあります。
国産の玄昌石の黒は品があり切り口も綺麗で、外国産とは較べようもなく深みがあります。
震災に遭った玄昌石を復興のシンボルとして使う事に大きな意味があると思います。
これまでに飯能と伊勢原で玄昌石で葺いたお宅を造らせて頂きました。
雄勝から来られた職人さん達が一枚一枚先の尖った金槌で
石版に穴を空け釘で留めてゆく作業を見たり、東京駅復元工事前の裏事情を聞くなど、
身近にしていたので「東京駅丸の内駅舎」に親近感を抱いてしまいます。
赤煉瓦の外壁と漆黒の屋根のコントラスト、それと如何にも厚い銅板を
使用していると感じさせる丸ドーム。
早く全景が見たい!
それも玄昌石の黒が映える雨の日に行きたい!
(三枝)