社会学では夫婦寝室は面白い研究材料らしい。寝室を別にすることにかかわる社会背景を論ずるだけで本が1冊書けるそうです。
ところが我々が日ごろ設計の打ち合わせの中で、寝室について本質的な議論が行われることはまずありません。
夫婦は何か問題がない限りは一緒に寝る以外選択の余地がないと思われているのです。同室でいいけど離れて寝たい。くっついて一緒に寝たい。本当は別室でゆっくり寝たいけど、、、。本音はなかなか聞き出せません。
夫婦関係は決して安定普遍なものでなく、長い間にはリズムも変われば変化もする。しかし固定的な寝室の形態は、夫婦関係のバイオリズムの動向にかかわらず彼らの関係を決定的に縛り付けてしまう力があります。
これがやばい。
夫婦寝室こそ離れたり繋がったり自由に出来る可変空間がいいのではと思います。
仕切ったりオープンにしたりTPOで使い分ける。これは日本の軽いふすまや障子の文化を拝借すればうまい按排に解決できる。
そうすれば、かつての日本の家屋に不可欠だった思いやりと遠慮の作法が夫婦の間にも取り戻せるかも。
(設計部 O)