先に竣工した街弁プロジェクトに続いて南雄三さんとのコラボレートプロジェクトがスタートしています。前回のお弁当屋さんプロジェクトは大成功でお店は大繁盛しているそうです。南さん自身のコメントを以下に紹介しておきます。
●ラボ+茶の間
今、横浜で住宅の設計がはじまっている。昨年はお弁当屋さんを設計したが、今度は純粋な住宅団地に建つ純粋な住宅である。そこで私は日本らしい家を現実に落とすことになった。建物を南に向けるために30度傾けたパッシブに、ラボ空間と茶の間のある家。
ラボ空間はリビングでもダイニングでもあり、その両方でもなく、工房にもなり、SOHOにもなり、外ともつながる新しい概念の空間。
茶の間は古き良き日本であり、またうんざりした日本の空間。
これら二つの空間は私にとっては「新しい日本らしさ」で捉えるが、普通では違和感のあるものだろう。だから私の提案が受け入れられるのかどうか不安だったが、建主は二つの空間をとても喜び、受け入れてくれた。
私がこれまで興味をもって勉強してきたことの全てがこの家に結実する。自分の精一杯。勉強に終わりはなく、いつでも未熟なまま、しかも社会の激しい変化に曝されている中での精一杯。そう思うと、建主への責任を感じなければいけないのだが、実力が精一杯なのに責任だってそれが精一杯。
だとすれば建主は私にとって同じ創作の線上を歩く同志のようにみえてくる。お客を同志といったら大変失礼だが、でも、同志としてこれまでの学習の成果を共有することがなければ、家の設計はなりたたないはずである。(南雄三)