「予期せぬ出来栄えに大好評でした」とお褒めのお言葉を頂戴した改修工事から数ヶ月後に、再びお電話を頂きました。
話を伺うとイギリスの南部地方の友人宅に滞在しながら旅をしてきて帰宅、その時すぐに感じたのだそうです。高層マンションに住み、海が見渡せる広いリビングがあり皆さんは羨ましいとおっしゃるが、質素だけれど暖かみのある友人宅に比べ何て味気のない箱の中に自分たちは住んでいるのだろう・・・と。
あの部屋をお茶室風に改修してくれた杉坂建築事務所ならこの部屋も、自分の希望を叶えてくれる提案をしてくれるのではないか・・・そう思ったら矢も楯もたまらずに電話してしまったのだそうです。
これまでにもマンションやビルの改修は手掛けてきました。構造体の柱や梁に無垢の板材を取り付けたり漆喰壁にしたりしてはいましたが、今回は杉坂が得意とする無垢の大黒柱や松梁を使います。二階ならまだしも、この現場は13階にあります。エレベーターでの搬入しか方法はありません。長物の大黒柱・松梁は全てエレベーターに入る長さ2.5 メートルずつに切り分けて搬入いたしました。
それらを伝統工法で接いで一本にします。リビングがまるで加工場のごとくなりましたが、大工さんの技と経験と知恵で見事に組み上げ、力強い空間に生まれ変わりました。
作業中に撮った写真を見た同僚曰く「大工さん達、楽しそうにやってますネ!」
(三枝)